bookshelf
アムの本棚から選んだ、本と人の小さなファイル。

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。

アーティスト・落合陽一の軌跡 「私にとって, 芸術とは生の軌跡そのものだ. 自然観を更新しながら, 人生の機微を見つめ, その視座を作品に彫刻し続ける旅である」 大阪万博パビリオン「null2」が大注目! 「計算機自然」「質量への憧憬」「未知への追憶」――テクノロジーとのはざまで生じる新しい自然観を追求した軌跡。 アーティストとしての活動を収めた、待望の作品集! 【主な目次と掲載作品】 第1章 波 《借景, 波の物象化》《Re-Materialization of Waves》《Morpho Scenery》《nullの木漏れ日》 第2章 蝶 《コロイドディスプレイ》《計算機と自然》《醸化するモノリス》《物化する地平線》 第3章 華 《電気がみえるブレッドボード》《環世界の遠近法》《計算と質量の間に》《ヌル即是色色即是ヌル》 第4章 鮎 《可塑庵(ぷらあん)》《計算機自然, 川と空の点描 : 鮎》《銀口魚の変換過程》《鰻龍(うなぎドラゴン)》 [寄稿]南條史生 [寄稿]ニコル・クーリッジ・ルマニエール 展覧会歴 全制作作品リスト ほか

言葉の意味はたえず変わっていく。 書き留められるのは、その一瞬にもっていた意味だけだ。 ―――言葉はいつまで、もぞもぞ動く? 2020年に日本翻訳大賞を受賞した、 精神科医が“私的なノート"に書き溜める、 国や地域、時代をまたぐ味わい深いことばたちを、 ひろく紹介する、ちいさな目録。 “名無しの翻訳"、“時代とともに消えた言葉"、 “意味の移り変わり"など 私たちの、“くちのききかた"からこぼれた60個の欠片を、 版画家・タダジュンの挿絵とともにしずかに眺める。 【目次】 ・ことばでないもの ・ことばをさかのぼる ・ことばのうつりかわり ・ことばがうまれるとき ・ことばがきえていくとき ・ことばをかきとめる ※各章末には、著者の小エッセイを収録。 例1 <: br>高高兴兴来上班,平平安安回家去/にこにこ通勤、すいすい帰宅 北京で見かけた交通安全の標語。余裕を持って安全運転で帰りましょう、の類。お役所スローガンに独特な垢抜けない感じが、たとえ言語が違っていても伝わってくるのが面白い。 ところで形容詞のなかで同じ音韻を重ねるとき、中国語はAABBの形をとり、和語ではABABとなることが普通。「明々白々」なんて日本語はごく例外的で、だからどことなく大陸の香りがする。 例2: a three-days sensations/人の噂も七十五日 逐語訳すると「三日間の衝撃」であるけれども、これは(すこし時代がかった)英語の慣用句で、大きな事件もしばらくすればさっぱり忘れられてしまう、という意味。これを説明するのに、「75日」と持ってきた辞書は大胆だなぁと思う。 三日天下、三日麻疹、三日坊主などどれも、「早く過ぎること」のたとえ。三日にあげず会う恋人たちなら、ほとんど毎日会っている(たぶん)。三日見ぬ間の桜は、ちょっと目を離したすきに散ってしまった花。ひとの気が変わりやすいことについても使う。